私的備忘録でもあります
American Mineralogistに投稿していた論文の印刷版が,今日やっと最終公表になった(査読完了受理は昨年7月).最終原稿のオンライン公開は早かったが.

1986年に北京大学の臧 啓家さんと共同研究を始めたときに気づいてからは36年,1991年の蘇魯超高圧変成帯の現地調査で同様の試料を見つけて,本格的に組成分析をしてから31年が経過していた.

論文の骨格の概略は,EPMA Dataをもとに当初から思いついてはいたが,当時はそれを独立した手法で検証する手立てがなかったため.

停年退職を控えドタバタしていたころに,FIB-TEMやEBSDでの分析をお願いできるようになり,また組成変化をSVD法で解析可能であることを知り,多くの友人の助けを借りて,やっと当初のアイデアを検証することができた.

岩石試料は,その長い間,ズーッと待っていてくれた.
つくづく,私は生命系に進まなくて良かったと思う
論文業績を評価する際に,好むと好まざるとに関わらず,その(あくまでも)目安として使われている数値は,これまでは大手の出版業界が提供するものであった.
しかし,最近はその手を離れ,おそらくは出版業務との利害関係がないところから(そう信じたい),いろんな統計指数が発表されるようになった.

先程,あるところからEJMで1993年に公表された108編の論文中では,私の論文が2番目に多く引用されているとデータが送られてきた.
そして,その理由は何だと思うかと問うていた.

何処まで信用できるかはともかく嬉しい.しかし,いきなりなので,ちょっと警戒して調べてみたが,とりあえず問題はなさそう(こんなことにまで,とりあえず気をつけないといけないとは,寂しいこと).

実は,この2番目の論文は私が主著者ではないので,4番目に多く引用されている論文に関して,次のような返事を書いた.
「この論文を投稿した際には,これほど引用されるとは,わたし自身予想していなかった.
この論文での議論の重要性が,特にこの分野で理解されるようになったのは,20年以上経過した最近のことである.
当初は注目されなかった研究が,後に重要な意味を持っていた例のひとつであろう.」

ちなみに,CMP (1994) 114編の論文中で6番目となっているものがある.これは,データ集めに本当に苦労したし,かなり自信を持って書いたもので,当初の目論みどおりというか納得.

これらの三つの論文は,私が30歳台後半に行った仕事.
「ある人にとって重要もしくは評価される研究の多くは,結果的に若い時に行われたものである.」とよく言われるが,私もどうやらその部類だったらしい.それ以降のほぼ30年間,私は何をしていたのか.

昨日,ほぼ20年前の修了生のOさんが,卒・修論の試料をとりに大学へ.

車に積む手伝いをしている時に,何気なく手にした試料に Ardenniteと書いたラベル.この鉱物,Asが酸化物になるような,地球内部としては異常に高い酸化状態下でのみ安定な希産種.

ラベルの文字は,Oさんに間違いないのだけれど,彼も私も全く記憶にない.幸い,薄片が保存してあったので,見てみるとちゃんとありました(分析はしていないけれど多分間違いない).

実は,32年前に報告したArdenniteを含む試料を,最近全く別の目的でEBSD分析.そして.昨日Oさんが部屋に顔を出す前に,ちょうどその原稿を書き上げたところでした.不思議な偶然です.

20年以上経っても保管さえしてあれば,再び研究ができる石.ずぼらな私は,一瞬一瞬が勝負の生命系に進まなくて,つくづく良かったと.....

10年ほど前に書いた論文で記載した試料のリクエストが届いた.
なんでも,熱力学データの測定に使用したいとのこと.
嬉しいことなれど,引っ越しの荷物の中.何とか探し出した.
その時,一緒に見つけたのが,このchromitite.

チベット,青藏公路沿いには,輸送中にトラックから落ちたり,事故や故障で運べなくなった鉱石が放置されていた.それを1988年の調査の際に拾ったもの.
Localityを聞いても,鉱物資源のため(当時は?)秘密なのか教えてくれなかった.
Microdiamondを含むchromititeが報告されているLuobusaやZedang ophiolitesなどと近い(といってもチベット高原での話,拾ったところからは数100km離れている).

これもそのうなのか?

一昨日まで,集中講義に来られていたNさんが,このchromititeを話題にされていた.ご縁ですな.
楽しいことだけで,愚痴など書きたくないのだけれど,お許しを.

最近3つの異なるJournalに原稿が受理された.
それはそれで嬉しいのだけれど,その後指示された(余分な)仕事が半端でない.

1.いつの間にか論文の引用形式が変わって,最後になって形式を合わせるようにとの指示.
受理原稿提出時に文献コードを削除した後だから,文献ソフトで一発変換はもはや無理.結局全てを手入力することに.
せめて,査読の途中にわかっていたらと思うけれど,査読者や担当編集委員に,そこまでのチェックを要求するのは無理.出版社の仕事だと思うのだけれど.

2.こちらも,1と同様の指示.HPで指示されていた引用形式が実際のものと微妙に違っていて,それにしたがったために生じた誤りの修正指示.
この場合は,担当編集委員の方から,逐一修正が必要な個所を指示していただいた.本当に申し訳ないと思う一方,この出版社は,何しているんだろうと.

3.先程,原稿のフォントが統一されていないので,対応するようにとの指示メールが,第1著者の院生宛に送られてきた.よく見たら,本文は問題ないけれど,行番号のフォントが違っていた.行番号など実際の出版の際には削除されるのに,何故こういったことまで要求するのか.これは簡単に対応できるから,出版社で行わず何故それを著者に要求するんだろうと,なおさら思う.これは,小さなことだけれど,ストレスは溜まる.

本来だったら,出版社で対応できること,もしくはすべきことを,最近は著者やボランティア編集委員にさせているとしか思えない.
雑誌のインパクトファクター,論文数や被引用数が,個人評価に(必要以上に)大きな影響を持つようになってしまった昨今,大袈裟に言うと,まるで出版社が研究者の生殺与奪の権を持っているよう.
出版社は,それをよいことに,少なくない投稿料を要求すると同時に,編集委員を含めた研究者に出版業務の一部下請もさせようとしている.これは,私の思い過ごしだろうか.
連休明けには,何とか目処を立てますといったものの.......
すみません.

週末散歩へは出ずに,1枚/時間ペースでと取りかかったものの,予想はしていたことながら,iPadのゲームがしたい,公園へ行こう,ひまわりの植え替えをしたい等々と,おちびちゃんからのリクエストが連続した昨日.それはそれで嬉しいのですが.....もうくたくた.
さて,今日は少なくとも午前中に2枚.
と言いながら,ブログを書いている.それじゃ駄目じゃん(笑点 昇太)(7200)
 大学に入って43年,給料をもらうようになって31年(今どきの計算では34年か)もたつのに,分析や実験では「念には念を」そして「確認のしすぎはない」ことを,改めて思い知らされました.

GW前,ある測定を別の条件で行ったところ予想外のデータが出て大喜び.
まさかねと思いつつ,こうしたときのお約束:1.同様な報告はあるかのチェックと,2.ノイズなど別の原因に由来するものを誤って解釈しているではないかのチェック.
同様のデータ報告は一例.誤解する可能性があるデータを出すかもしれない幾つかの参考物質を同様に測定してもセーフ.

 こうして,第一稿をほぼ完成させて,ワクワクしながらGW開け.
もう少し綺麗なデータをとろうと思って再度測定にかかる.
「面倒だから,再度確認なんかしなくても良い.」という私の中の悪魔のささやきを振り払い,だめ押しのつもりで幾つかの参考物質をあわせて再度測定.すると目星を付けてはいたものの前回の測定では無罪だった物質から問題のピークが出現してしまった.慌てて何度測定し直しても結果は同じ.(^_^;

 ある程度理解していたつもりだったけど,この分析方法は,感度と空間分解能が良すぎる(?)ため,僅かな状態や分析個所の違いを検出してしまったようだ.
憶測で言ってはいけないかもしれないが,一例ある以前の報告も同じ現象を見誤った可能性が.....

 残念だったけど,恥をかかずにすんでホッと.
気を取り直して,今日の目標.3つあった売りを2つに減らした原稿への修正を完了させる.
長かったGWも今日が最終日.
家族はそれぞれの用事で留守.私ひとりの靜かな一日.

午前中は書き物.
毎度のことながら,いざゴールが見えてくると,それまで気付かなかった肝心なデータが足らないことが顕わになってくる. そして今回も,その部分は空欄にしてとりあえずゴールになだれ込む.
明日データをとって図をつくれば,第一稿は完成!!のはず.

そのように書くと同業の方は,「そんないいかげんなやり方で良いの?」とおっしゃるかもしれませんが.....
まあ,予想を立ててその通りのデータが出れば,それはそれでゴールなのだから嬉しいのだし,そうでなければ,予想外の面白い結果が出た訳で,本当はそちらの方が楽しい.それに,書き直しといっても,これまでのデータ自身の価値がなくなる訳でもないし.
結局,多くの場合どちらに転んでも良い訳で.
このあたり,理系特に自然科学分野の面白味か.

幸い明日は講義はないし会議もないはずだし.どんなデータがでるか楽しみ.
東濃地科学センターに所属する瑞浪超深地層研究所と先週開所したばかりの土岐地球年代学研究所におじゃまして,500 mの立坑にもぐりました.(8200)
次の会議までは15分間,中途半端な時間なので,ブログをアップ.

初めての経験だけど,昨日は午前中1つ午後4つの会議の連チャン.
ところで,最近これらの会議は,全てペーパーレス.会議の席上USBが渡されてPCなどにファイルをコピーしてして見ることに.ただ,会議の資料量が半端ではなく(昨日分はA4で337ページ),1台のPC上で複数のファイルを切り替えつつ,説明を聞いて,メモを作るなんて芸当は,私にはできない.同じ内容の会議であっても,紙媒体ならばこんな量の資料は配付されるとは思えないのだが.

しかも,資料は全て通常のPDF形式なので,自由には書き込みができない.
したがって,報告用メモを作るためには.別途ワープロソフトを立ち上げる必要がある.

そこで MacBook AirとiPad Airを持ち込むことに.
資料はiPad Air上で見て,メモ書きはMacBook Airでつくることになるのだけれど,iPadはUSBと接続できないし......
資料はUSB→MacBook Air→Wi-Fi経由でiPad Airへという,面倒な手順が必要となる.

膨大な紙の消費を抑えるペーパーレス化には大賛成だけど,PCもしくはPCもどきを2台持参しないといけないとは,
もっとも,PC1台で全てのことをこなしておられる,すごい方もいらっしゃる(私には無理).PC 1台と手書きという方法もあり得るのだけれど,報告用に再度ワープロ入力することを思うと,私は拒否.
せめて,メモ入力ができるPDF形式にしてくれるとよいのだけれど.

もうひとつ,思ったこと.
こんな会議を総長部局は繰り返しているんだと.これじゃ, そのメンバーは,研究・教育なんてとてもできない.
全員とは言わないけれども,多くの副総長や理事は.研究の面でも立派な方が多い.その人達から研究の時間を奪う(?)のは,大学にとって大きな損失なんだけど.
でも,政治ばかりが好きな教授に,大学の運営を任せるのは,もっと損失が(むしろ危険が)が大きいか.
悩ましい.
ある新聞の書評を読んで,内容も確かめずに「てにをは辞典」なるものを衝動買い.
私にとって,これは大當でした(何の脈絡もなく,高校生だったとき当時の校長先生の姓が大當だったことを思い出す).

250名の作家の作品から,2つの語がどのように結ばれているのか(ここでは結合語と呼んでいます),またはどのような助詞を介しているかの例を集めたもので,助詞の使い方を確認するのが主たる目的でしょうが,その他にもいろいろ役立ちそう.....
1.ある語に続く言葉や表現をさがす,
2.表現になんとなく違和感を覚え,モヤモヤしたときの確認,
3.否定形,肯定形いずれで使うのかの確認.ためしに,「全然」を見たら,全部否定形の例.明治時代には肯定形でも使われていたと聞いたことがありますが,どうやら島崎藤村,永井荷風,夏目漱石,二葉亭四迷,室生犀星や森鴎外などの文豪はその様に用いなかったらしい.
4.語の相性の確認
5.ある語からの連想を広げる.
などなど.

ちょっと重いけど,通勤途中に読むのに良さそう.

余談ですが,新しい辞書・辞典の香りはどうして皆同じなのでしょう.忘れていた香りを久しぶりに聞きました.(5500)
久々に時間が経つのを忘れて,分析をしていた.
そして,帰りのバスに乗り遅れてしまった.

長い間解釈できずに困っていたこと,その原因が判るかもしれない.
ワクワク.仕事でこんな気分は久しぶり.
明日も予想どおりの結果が出るか?(6200)
現在,大学は,秋の一大イベント「科学研究費補助金(通称,科研費)申請」期間.
大学運営の基本給とも言える運営交付金が年々削減される中,科研費を取れるかとれないかは,その後の研究室の運営や研究進行に,かなりの影響を与えます.しかし,その競争率は平均すると約5倍.シビアーな世の中です.そんな中,私が所属するグループには,小さい世帯にもかかわらず内定を含めると科研費を持った院生が3名.この院生のがんばりは,すごいことです(当然のことながら,これは,彼ら彼女らの研究費であり,研究室の運営には使用されません).

そんな時期なので,例年だったら,のんきにブログを書いているような暇はないのですが,幸か不幸か今年は代表者として新規に申請できる項目がないため,比較的のんびりとした祝日.
先程,分担者となっている研究申請の書類にコメントして,代表者に返送したところ.この申請書は,よく書けていると思います.私が審査員なら,最高の段階点を付けるのですが.....この申請が通るといいな.審査員の眼力を信じましょう.

諸事情により,今日が後期講義のスタート.

後期は,前期と比べると担当コマ数は少ないのですが,約80名が登録している1年生対象の全学教育科目の講義があります.
残念ながら多くの高校で「地学」の授業が行われていないので,学生にとっては,体系的な地球惑星科学との最初の出会いです.
そんなことや少人数対象の専門の講義とは勝手が違うため緊張するし,広い講義室では声の大きさから気をつける必要があり,またキャンパスの反対側端まで往復せねばならず,精神的にも肉体的にも結構疲れます.とはいえ,いやな疲れではありません.

いつもなら,講義が始まると体重が誤差範囲を超えて減少するのですが,今回は如何に?
取りあえず,
ビールではなく,
論文の第1稿が完成.

書き始めたのが07/29ですから,約10日間.私にしては前代未聞の短期完成.1日1 chapterをノルマとしたのが功を奏しました.それと,院生のKさんが,若手研究者向けのセミナーで聞いて私に教えてくれた「原稿は,1ヶ月を目処に,取りあえず書いてしまうこと.」が,頭の片隅のあったのかも知れません.

8月に入り夏休み.講義時間はなく会議や事務の雑用も極端に減って,ほぼ原稿書きに専念できました.途中には,出張があったり別の原稿の件で来客もあり,ほどよい息抜きも.こんなにストレスのない一週間は久しぶりです.
08/06の発見も一連の仕事の余録(?).

「取りあえず」でした.
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